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大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)3679号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕第一、請求原因一の(一)ないし(五)、二の各事実は当事者間に争いがない。

第二、受傷

<証拠>によれば、原告は、本件事故により顔面挫傷、右背部右大腿右足関節腰部挫傷、頸椎捻挫(外傷性頸部症候群)の傷害を受け、三重県亀山市内の成田外科に昭和四二年九月六日から同月二五日まで入院し、同日、大阪市内の成田外科病院に転医して昭和四三年六月一三日まで入院し、退院後も同院へ同年九月二八日までの間実通院日数七七日の通院をなし、また、同年五月八日より関西医科大学付属病院へも通院し、同病院へ昭和四四年八月五日より同月二四日まで二〇日間および昭和四五年八月二八日より同年一一月一〇日まで七五日間の二回に亘り入院し、昭和四六年一月二三日まで同病院へ実通院日数七九日の通院をなして、それぞれ治療を受けたが、自覚的症状として頸部背屈時および左項部より肩部にかけての痛み、軽度の耳鳴、歩行時に左側に傾き易い感じ、左拇指、示指のしびれ感、下肢の痛み等が存し、他覚的症状として、左項筋圧痛、背屈軽度障害、左側腱反射亢進、左橈側知覚障害、左下肢筋力低下、調節力低下、左上肢血管運動神経障害等が認められ、また、精密検査の結果、第三、第四頸椎椎間孔の狭少化、前後運動不充分、第四、第五、第六頸椎の椎間板突出があり、頸部の運動制限が全方向にあり特に左側に強い運動痛、硬直を伴つていたので、頸椎前方固定術を受けたが、前記の如き自覚的、他覚的所見を残し、また自律神経障害、知覚障害、肩関節の挙上困難等が残り、労働者災害補償保険級別に該当する後遺症としては、一眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの(一二級の一)、および神経系統の機能に障害を残し服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(九級の一四)にあたり、その症状は遅くとも昭和四四年一二月一八日頃には固定した事実が認められる。なお、<証拠>には、原告の後遺症は神経系統に著しい障害を残し軽易な労務以外の労務に服することが出来ない(七級該当)旨の記載があるが、右は、昭和四三年九月二八日当時の診断であり、かつ同書証の他の記載部分や前記認定の事実と対比してたやすく措信できず、また、<証拠>には「局所に頑固な神経症状を残すもの(一二級の一二)または神経系統の機能に障害を残し服することができる労務が相当な程度に制限されるもの(九級の一四)に該当するものと考える」との記載があるが、前記認定の原告の自覚的、他覚的所見、検査結果、頸椎前方固定術後の症状等からすれば、原告の後遺症の程度は労災保険級別九級該当と認めるのが相当と考える。

第三、損害

(一) 治療費  金七六、五〇〇円

<証拠>による。

(二) 付添費用 金三一、八七〇円

<証拠>による。

(三) 入・通院雑費 金四〇、六七〇円

<証拠>ならびに前記第二認定の原告の関西医科大学付属病院入院期間中、一日につき金三〇〇円程度の雑費を要したであろうことは容易に推認されるので、その額は原告主張の金四〇、六七〇円を下ることはない。

(四) 休業損害

(事故時の収入)

<証拠>によれば、原告は、本件事故当時、株式会社森運送店に自動車運転手として勤務し、毎月平均金六四、五六〇円の給料と、夏冬の二回に賞与として各金三〇、〇〇〇を得ていた事実が認められる。

(休業期間)

原告は前記第二認定の傷害により昭和四二年九月六日より昭和四三年九月末まで勤務先会社を欠勤し、同年一〇月、一一月の両月に試験的に再就労してみたが、勤務に耐えず、同年一一月末頃同社を退職し、その後昭和四四年一月末まで静養し、同年二月より南野建設株式会社に再就職した事実が認められる。従つて原告の休業期間は一七ケ月となる。

(損害額)  金八三、九三四円

右期間における原告の損害額は合計金一、一八七、五二〇円となるが、原告において、昭和四三年一〇月、一一月の両月に試験的に稼働した際合計金五三、五八六円を取得し、また、被告会社より休業補償金として金一、〇五〇、〇〇〇円の支払いを受けたことを自認しているので、これを差し引けば、休業損害の残額は金八三、九三四円となる。

(六四、五六〇×一七)+(三〇、〇〇〇×三)−一、一〇三、五八六=八三、九三四

(五) 逸失利益

原告本人尋問の結果によれば、原告は前記のとおり長期間の休業ののち、昭和四四年二月より南野建設株式会社に再就職し、倉庫への出入荷の指示やクレーンの操作等の業務に従事するようになり、毎月平均金四五、〇〇〇円の給料と年二回の賞与を受けるようになつた(但し昭和四五年三月より給料は金五五、〇〇〇円となつた)ことが認められる。これと前記第二認定の原告の後遺症の程度、内容、ならびに原告は従前自動車運転手として稼働していたが、再就職後は自動車運転に従事しえず前記の如き職種に就いていることなどを綜合すれば、原告は本件事故による後遺症のため、労働能力が三〇パーセント程度低下し、その状態は再就職時より六年間は継続するものと推認するのが相当と考える。これによつて損害額を算定すれば、金一、二八五、三八五円(円未満切捨、以下同じ)となる。〔(六四、五六〇×一二)+六〇、〇〇〇〕×一〇〇分の三〇×五、一三三(ホフマン係数)=一、二八五、三八五

(六) 慰藉料

前記第二認定の傷害の部位、程度、入・通院期間、後遺症の内容、程度、その他本件に顕れた一切の事情(なお原告の右の傷害と後遺症からすれば、入院期間が余りにも長期間に亘つており、とりわけ当初の入院期間が長く、その必要性に疑問がないわけではないので、この点は慰藉料算定につき考慮した)を考慮して、慰藉料を金一、五〇〇、〇〇〇円とするを相当と認める。 (吉崎直弥)

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